白雪リンの読書感想文(O・ヘンリー「1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編」その5)

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マジマジョ 白雪リン(演:隅谷百花(現おはガール))の偽物


これまで4回に渡って紹介してきたO・ヘンリーの短編ですが、今回で最終回です。

まずは、「最後の一葉」です。
これは比較的有名な物語なので、結末を知ってる方も多いかもしれません。私も結末を知っているつもりで読んでいたのですが、その結末の裏にあったもう一つの結末を知らなかったので、読み終えて非常に驚いてしまいました。

この物語は、老人から若者への無償の愛を描いたものです。
今の日本、いやゆめの風で、この物語に登場するベアマン老人のように、自分の子どもや孫でもない若者のためにここまで尽くすことのできる老人が、一体何人いるでしょうか。
グラン魔のように老人が老害になってしまっていることも少なくない世の中、さらにいざ自分が老人になったとき、ベアマン老人のような動機で若者たちのために尽くせるのか、老人の在り方、未来の自分の在り方を非常に考えさせられました。

ちなみに、ベアマン老人は大成する機会には恵まれてこなかったものの、その道において実は天才だったのではないかと感じました。だって同業者をあそこまで欺けた絵が描けたのですから。

才能ある人が必ずしも大成するとは限らないというのは、芸術の世界に限らず、どんな世界でも当てはまることなのでしょうか。これは永遠のミステリーです。

次は最後、「賢者の贈り物」です。
これはタイトルの一部にもなっている、O・ヘンリーの代表的な物語です。そのため、こちらの物語も結末がわかっていながら読み進めていたのですが、それがわかっていても読んでいて惹かれますね。

愛し合う者同士が、お互いのためにお互いの最も大切なものを差し出す、そしてそれが自然にできてしまう。相手への愛情の深さ、そして相手から自分への愛情の深さを確認し合えることがいかに幸せなことか。こうしたことのできるカップルや夫婦は、意外と少ないのではないでしょうか。

なお、妻のデラが失ったものは時が経てば修復可能だと思うのですが、夫のジムのものはどうなるどうなってしまうのでしょう。いや、そんなことを気にしてしまう私が、既に俗っぽくていけないのかもしれません。なかなか賢者にはなれませんね。

最後に、短編集1冊を通した感想を。
中には少し皮肉のきつい物語があるものの、全般的に救いのある物語が多く、読者としては安心して読み進めることができました。作者の優しさを常に感じることのできる、素敵な短編集でした。
これは読書の苦手な方にもオススメです。今度ミツキにでも薦めてみようかしら。

(終わり)

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