リンとカイト(その2)

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マジマジョ 白雪 リン(演:隅谷百花(現おはガール))
     小田原 カイト(演:下川恭平)      
ティアラ(演:篠田麻里子)        
      

(今なら白雪とキスできる…!)
(…いやいや、白雪は病人なんだ…)
あと5センチでキスできるチャンスを辛うじて残った理性で捨て去り、カイトは慌ててリンから離れます。
それからほんの数秒後、ふと目を覚ますリン。
「カイトくん…」
ビクッと身体を固くし、リンの次の言葉を待つカイト。
「そこにある体温計を…取って…いただけますか?」
上体をゆっくり起こしながら、カイトにそう言うリン。
ホッと安堵して、部屋の中に転がる体温計をリンに手渡すカイト。
しかし次の瞬間、カイトはリンの胸元から目が離せなくなります…。
リンは高熱で朦朧としていたため、カイトが部屋の中にいることを十分に意識できていませんでした。体温計を脇の下に挟むという目的にのみ、頭がボーッと突き進んでいたため、後ろを向くことをすっかり忘れていたのです。
そのままカイトの正面を向きながら震える指でパジャマのボタンを3つ外したため、水色のブラジャーがカイトに丸見えだったのです。
ゴクリッ…
カイトが生唾を飲み込むその音で、リンは初めて自分がカイトに無防備な胸元を晒していることに気が付きます。
「アカンッ…!ご、ごめんなさい、カイトくん…!」
前よりも頬を赤くしながら、リンがようやく後ろを向きます。
「い、いや、お、俺、な…、何も見てないからっ!」
苦しい言い訳をしながら、カイトもリンに倣って後ろを向きます。
10秒間の気まずい沈黙…。
ピピピッ!
やっと部屋に流れる救いの音。
「さ、39℃…!?」
体温計のディスプレイを見て絶句するリン。
そのとき、部屋の電話がけたたましく鳴りました。
「はい…」
近くの受話器を取るリン。相手はティアラさんでした。
「リン、熱は幾つだったの?」
「39℃…」
「えっ!39℃?今すぐ解熱剤を入れなさい!」
「自分では無理です…ティアラさん、早く帰ってきてください…」
「それがねぇ、すぐには帰れそうにもないのよぉ…。そうだ、さっきの男の子にお願いしなさい!」
「そ、そんな…、む、ムリで…」
ツー、ツー、ツー。
リンの話を最後まで聞かず、電話は切れてしまいました。
狭い部屋の中、リンとティアラの会話はカイトに筒抜けでした。
顔を赤くして下を向くカイト。
「あ、あの…、カイトくん…」
「白雪…、ぜ、全部聞こえてた…」
「では…、そ、その…テーブルの上にある…座薬を…」
「お、おう…、本当に…、良いんだな…?」
リンは顔を上げずに頷きます。
ビリビリッ…!
カイトは震える手で座薬の包装を剥いていきます。
(別にえっちなことをする訳じゃない。これは白雪のためだ…)

(「その3」へ続く)

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