ユリアの最期(その1)

マジマジョ 虹色 ユリア(演:増田來亜(現おはガール、ガールズガールズ))
ティアラ(演:篠田麻里子)                  


「ユリア、今のあなたの夢は何?」
お馴染みのジュエルショップ内で、ティアラがユリアへ尋ねます。
「人間と同じように、一生を閉じることかな。」
特に時間をかけて考える様子もなく、反射的にユリアが答えます。常日頃思っていたことなのでしょう。
ユリアとティアラが今生きているのは、モモカ達5人の魔法戦士が邪魔界と戦っていた100年後の世界です。
ユリアとティアラは魔法界でも特別な存在。人間はもちろん、一般の魔法界の住人達とも別の時間軸を生きています。
その間、人間界で生まれ育ったモモカは、そのまま人間界で子どもを生み、育て、やがてその一生を終えました。
魔法界で生まれたリン、ミツキ、シオリも人間界で夢を見つけ、やがて魔法を忘れ、人間界で子どもを生み、育て、やがてその一生を終えました。
みんな人間界で精一杯生き、子どもや孫に囲まれながら幸せなお婆ちゃんとしてこの世を去っていったのです。
「私はユニコーンの精霊、決して死ぬことはない。そしてわかったんだ。人間たちが夢を持つのは、その一生が限りあるものだからだ。その限りある命を精一杯生きるため、拠り所となる夢が必要なんだ。私は夢を持つためのスタートラインにも立っていない。」
ユリアが静かに、そして寂しそうに言います。
「ユリア…。」
ユリアの言葉に、ティアラは返す言葉が見つかりません。
「ティアラさん、100年以上人間界と魔法界を見守ってきた私の最後のわがまま、聞いてくれないか。」
そう言いながら、ユリアはモモカ達と初めて出会ったときのような、不器用な眼差しでティアラを見つめます。
そして続けます。
「仮に私が人間のように一生を終えたとしても、次のユリアが現れるのだろ、ティアラさん。」
その言葉を聞いて、今まで静かにユリアの言葉を受け止めていたティアラが驚いて返します。
「知っていたの !? ユリア…。」
「あぁ。と言っても、何となく理解したのは割と最近かな。私は大量にいるクリオネ型の妖精の、そのうち一匹を核として人型に擬態したものなんだろ?」
「えぇ、その通りよ。」
ティアラはユリアと視線を合わせるものの、微妙に瞳が揺れています。
「すまない。ティアラさんだってずっと人間界と魔法界を見守ってきたのに、私だけこんなわがままを言って…。」
ユリアの言葉にティアラの瞳は落ち着き、
「良いのよ、ユリア。だってあなたは夢を見つけたんだから。」
その言葉に偽りはなく、ユリアを責める気などこれっぽっちもないティアラです。
「わがままついでに、もう一つ聞いてくれないかな。」
「あらユリア、急に欲張りになったわね。言ってごらんなさい。」
いつものティアラの調子が戻ってきます。
「ありがとう。あのね、ティアラさん…。次のユリアが現れても、私のことを忘れないで欲しいんだ…。」
ユリアは静かに控えめに、自分の願いを口にします。
それを聞いた瞬間、これまで冷静さを保っていたティアラが崩れてしまいます。
「当たり前じゃないッ!次のユリアもその次のユリアもいないッ!私はあなたと共に人間界と魔法界を見守ってこれたこと、とても誇りに思っているわッ!」
そう言うのが精いっぱいで、ティアラはその場に泣き崩れます。
「ごめんなさい、ティアラさん…。」
「謝ることなんてないのよ、ユリア…。」

(「その2」へ続く)

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